MAKING
おほしさまズ新作展・於 浮田邸庭

暑い暑い、すごく暑い2010年の夏を、パンツ一丁で過ごしておりました。ふと、こんな「お地蔵さん」があってもいいなと思いついて、スケッチしておきました。それにPCで色を付けてみました。


9月に入り、万成石で作ったらどんな感じになるかなと、形作って、万成石っぽく塗装してみました。前掛けが赤いフンドシのように見え、「赤フン地蔵」って名付けようかなぁ~などと思いました。


すこし背丈が高いようなので、背丈を低くして作り、子供たちが注目してくれれば嬉しいなぁ~と、前掛けに花を描き入れてみました。紅白のめでたく明るい感じになればなぁ~と、本体は白い色にしました。


ついでに、もっと背丈が低く太った形のものも作り、前掛けには星を描き入れてみました。星なら夜空と決めつけて本体を黒っぽい色にすると、どっしりとした重い感じになりました。


今度は前掛けに色を付けずに、「兮」の俗字を入れました。「兮(ケイ)」は韻文中で音調を整える助字で「水面に浮ぶ水草」を意味します。陶淵明の「帰去来兮・帰りなんいざ」でよく知られています。人生は浮草のようだなぁ~と儚んだりしました。


前掛けも文字もはぶいてみると、なんだか、すっきりしました。すっきり、さっぱりしすぎて、物足りないむきもあります。「素にして閑」「清く貧しく美しく」って、こんなでしょうか。


手のひらに乗るほどに小さくして、笑顔にしてみました。子猫のようですから、ピンと立った耳とひげを付けたいところですが、ゆくゆく石で作るつもりでもあるわけですから、耳の加工はやっかいな仕事になります。


万成石っぽく色を付けるのに限界を感じ、桃色にすると、あたたかみが出て、ウーパールーパーのようになりました。もう、すっかり「お地蔵さん」ではなくなってしまいました。これで、大きさ、形、表情など、だいたい出そろったなって思いました。


それで「お地蔵さん」から離れて、文字だけのものを作ってみました。まずは、やっぱり「兮」から。私は漢字の中ではこの文字が2番目に好きなんです。


再度、万成石に挑戦しました。そして「福」を彫り込み、金文字にしました。家内安全のお守りみたいにならないかなぁ~と、「寿」や「楽」や「吉」や「長」や「久」や、他にもいっぱいあるけれど、これさえあれば、「我は幸福」って気にならないかなぁ~と、とりあえず、「福」にしました。


「南」って浮き彫りにして、庭の片隅に南向きに置かれる方位石にしてみました。「南」って読める所に向かい立てば、その方向が南なんですよと、あるいは「南無」と。「北」でも「西」でも「東」でもよろしいのですけれど、「南」って明るくて暖かくて、しあわせな感じですものね。「東南西北」には古来「青赤白黒」の色が配され、季節的には「春夏秋冬」って感じがします。それで、「南」の文字に赤色を塗ってもみましたが、ノミギリやミガキなどの仕上げで表現したほうが、文字がめだたなくて、自然かなと思いました。


とすると、平仮名を彫り込むのも良いかもしれないと、ためしに、「あ」ってしてみました。テーブルや机やの上に「あ」ってあったら、あったかいかしら、あっとおどろいて、面白いかもしれません。「あ」は「安」の草体ですよね。「安心」「安全」「安泰」「平安」なイメージを‥。


でも、文字ってやっぱり観念的ですから、花を浮き彫りにしてみました。花はやっぱり、「かるく、あかるく、やさしい」感じです。食卓に置いてあると食欲がわいて、健康で幸せな文化人になれそうな気がするのです。

以上、
万成石の小品を作るための見本として作りましたが、12個も出来てしまいましたから、「おほしさまズ新作展 / 浮田邸・庭」ってことにして、それを毎月 1個ずつ展示したら、1年間の展示会ってことになって、おもしろかろうと、そして、毎月その展示品の写真を浮田さんに撮ってもらい、Website Exhibition にしようと思う次第でありますと、展示会が終ったら、それを写真集にしたらどうでしょうかと、岡山は万成の(有)浮田石材店の浮田隆司さんに提案したところ、快諾していただきました。だから、浮田さんにはとても感謝しているところであります。ありがたき幸せにございます!2011年 6月、本物の万成石で作ることができました。名前は「目付石」としました。「めつき」とも「めつけ」とも読めて、いいかなと思います。英名は WATCHDOG ならぬ WATCHSTONE です。家族が健康で文化的な生活がおくれているか監察します。ありがたや、めでたしや。

© 2018 志津雅美 東京都杉並区荻窪
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